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現在、石油埋蔵量は6,000万トンといわれている。天然ガスは78年にスペインで初めて発見され、84年に生産が開始されたが、生産量は136万石油換算トン(89年)で、エネルギー消費量全体の1.6%に過ぎない。埋蔵量は260億立方mと推定されている。
従って、スペインにおけるエネルギーは、主として輸入石油に依存しており、89年の鉱物性燃料および石油製品の輸入は輸入総額の11.4%を占めている。
電力生産は、原子力発電を中心に増加傾向にあり、原子力エネルギーは90年には電力生産全体の35.9%を占めた。
太陽熱、地熱発電については未だ開発初期の段階にある。
スペインの主要外貨獲得源の一つである観光事業は、貿易収支の赤字を補填する上で重要な役割を果たしている。
89年にスペインを訪れた外国人は約5,100万人で、国別ではフランス人(1,200万人)をトップに、ポルトガル人(1,004万人)、英国人(750万人)、ドイツ人(680万人)と続き、欧州諸国からの観光客が全体の84.8%を占めている。
89年の純観光収入は約131億ドルと前年比7.2%減となったが、92年のバルセロナオリンピックやセビリア万国博を控え、観光収入の増加が期待されている。
スペインは、従来から大幅な貿易赤字をほぼ同額の観光黒字で相殺し、経常べ一スでは若干の黒字という国際収支構造になっていた。
しかし、88年以降貿易収支(90年320億ドルの赤字)が一段と悪化する一方、観光収入が伸び悩みを見せ、経常べ一スでも赤字(90年157億ドル)を記録している。
ただし、EC統合を控え、投資環境の良好なスペインに対して外資の導入が活発化しており、これによる長期資本収支の大幅な黒字が経常赤字を埋めるのみでなく、外貨準備高を徐々に積み上げる状況となっている。
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