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スペイン

(1) 一 般 事 情
スペインは、人口は3,932万人(1990年央)で西欧中第5位であり、国民総生産(GNP)は3,584億ドル(89年世銀推定)で世界第12位、OECD諸国中第8位(サミット参加7カ国に次ぐ)、西欧では第5位となっている。
85年央から内需主導型の経済成長が始まり、87年から89年までの3年間の成長率は年率5%を超え、EC域内はもとより、世界レベルでも先進国の中では高成長を維持している。
スペイン中央銀行の統計によると、89年のスペイン経済は旺盛な内需を背景に、政府見通し(4.6%)を上回る5.2%の国内総生産(GDP)成長率を達成した。
内需のうち、設備投資、個人消費は政府の金融・財政引締め策の導入に伴い、下半期に入ってから伸びは鈍化したが、それでも前年比11.5%増、5.6%増とそれぞれ高水準で推移した。
特に、建設投資は92年のバルセロナ・オリンピック、セビリア万国博などを控え公共投資の活発化を背景に、前年比15.0%増と前年を上回る大きな伸びを示した。
90年のスペイン経済は、政府の経済引締め政策が功を奏したこともあって、これまで経済成長の牽引力を果たしてきた内需が過去5年問で最低の前年比4.7%の伸びに低下し、GDPの成長率は3.6%にとどまった。
スペインは元来、地味がやせているため、農業には不適とされていたが、1950年代までは豊富な農業労働力を活用して、地中海性農業を営んできた。
しかし、60年代の飛躍的な工業発展過程で、農村人口が急激に流出したため危機にひんした農業は抜本的な改善に迫られることになった。灌漑、耕地の再編成が進み、機械化も行なわれた。
この間、農林水産業の国民経済に占める割合は徐々に低下し、70年代初期に12.2%、労働人口の30.0%を担っていたのが、89年にはそれぞれ4.9%、13.0%にまで落ち込み、輸出貢献度も約16%に低落した。
 
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