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イタリア

(1) 一般事情
イタリア経済は、国内総生産(GDP)規模で欧州では西独、フランスに次ぐ第3位の経済大国であり、第2位のフランスをも追い抜く勢いをみせている。
イタリアにおける大企業は鉄鋼、自動車、化学などを中心とする重化学工業部門に集中しており、中小企業は食品、繊維、皮革などを中心とする伝統的産業に従事している。
また、イタリアでは高度に産業の発達した北部と、農業主体の南部(ローマ以南)との間で経済格差が大きく、南伊開発促進によりこれを是正することが経済・産業政策の重点項目となっている。
農林水産業がGDPに占めるシェアは、80年の5.7%から89%には4.1%へ、また、労働人口に占めるシェアは、80年の13.6%から90年には8.9%へと、それぞれ低下している。
イタリアは、欧州経済共同体(EEC)の農業生産量の約22%を占め、フランスに次ぐ農業生産国である。米(89年125万トン)、オリーブ油(同570万トン)、果実、野菜などの生産量はECの中で第1位、小麦(同740万トン)、とうもろこし(同636万トン)タバコ(同20万トン)、ぶどう(同950万トン)などは第2位、甜菜(同1,363万トン)は第3位であり、その他農産物の種類および生産量は豊富である。
イタリアは、金属鉱物およびエネルギー資源に恵まれていない。シチリア島には大規模の硫黄鉱床があるが、経済的には採鉱が不可能とされている。水銀鉱は比較的豊富にある。
このほか、Abruzzi、Campania、Pugliaなどの地方ではボーキサイト、サルニジア島では銅と鉛が生産されている。建設用石材および大理石は豊富にあるが、石炭は埋蔵量が少なく、品質も粗悪である。採鉱はサルジニア島、Piemonte、Toscana、Calabriaなどの地方で行なわれている。
原油の国内生産は主としてENI(炭化水素公社)傘下のAGIPによって行なわれて
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