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ド  イ  ツ

 
(1)一般事情
 
欧州における冷戦が終了し、旧東独との統一が達成された90年10月3日以後も、旧西独地域における経済動向は、当初予想された大きな混乱は見られず、またイラクのクウェート侵攻に伴う国際石油危機や米・英などでの景気後退にも拘らず、旺盛な内需拡大に支えられて好調な景気拡大を続けていたが、91年秋頃から景気後退の兆しが見られ、92年の実質経済成長率は前年の3.2%から1.5%程度に低下するものと推定されている。
また、雇用情勢についても、91年秋頃までの景気拡大を反映して改善を続けていたが、92年に入って、失業者数は約190万人(失業率6.3%)、操業短縮労働者数は約22万人、更に旧東独地域からの通勤労働者は年間を通じ増加を続け、91年末現在では55万人に達している。
これに対し、統一後の旧東独地域における失業者数は増大の一途を辿り、92年1月現在で約134万人(失業率17%)にも達している。
旧西独の国内総生産(GDP)に占める農林水産業の比重は、1970年の5.5%から80年には3.4%、90年には1.7%と縮小し就業者数もそれぞれ13.7%、8.5%、3.7%へ減少している。農業の主体は畜産・酪農、次いで果物、野菜であり、加工製品ではドイツワインが世界的に有名で、日本への輸出は年々拡大している。
農業政策では、EC共通農業政策が全面的に適用されており、政府が実施しているのは農業従事者に対する補助金として年金、健康保険、事故保険など社会政策の分野に限られている。
鉱業については、経済発展の原動力であった石炭、鉄鋼は産業構造の変化とともにその役割を終え、鉱業もその比重が縮小している。
しかし、鉱業の主力である石炭・褐炭は埋蔵量も多く、石油危機の際には石炭発電に切り替えるなど現在でもドイツのエネルギー政策を支えている。90年の産出量
 

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