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(C)船腹拡充計画
英国商船隊の衰退は著しく、英国海運業がピークに達した1975年の3,320万G/Tが、87年には、1,000万G/Tを割り込み、91年には更に660万G/Tへと落ち込みを見せている。
この背景としては、景気低迷に伴う荷動きの減少による海運業の大幅な規模縮小、コスト高の英国籍船から便宜置籍への大量の移行、代替建造の激減などが挙げられる。
91年末現在における英国商船隊(100G/T以上の鋼造船)の全船の平均船齢は16年、コンテナ船、タンカーはそれぞれ17年に達しており、老朽化が進んでいる。
特に、84年に船舶取得に際しての税控除(100%の資本支出が法人税の課税対象収入から控除される制度)が廃止されて以来、代替建造の件数は激減している。
英国船主の発注による工事量が、世界造船所全体の手持工事量に占めるシェアは、83年の2%から91年には僅か0.1%にまで低下している。
便宜置籍船については、特に英国本土から、マン島など英国自治区、あるいはベルムダ、カブマン諸島、ジブラルタル、香港など英国自治領への移籍の増加が著しい。
General Council of British Shipping(英国海運審議会)は、英国商船隊の衰退を食い止める方策として、NATO(北大西洋条約機構)に基づく英国商船隊の役割の重要性も考慮に入れ、政府に対し船腹増強への再投資促進、運航費補助などの助成を実施すべきであると強く勧告している。
 

保有船腹量の推移

 

 

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