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オ ラ ン ダ

 
(1)一般事情
 
オランダは北海に面し、ライン川、マース川、スヘルデ川などによって形成されたデルタ地帯に位置し東南部は僅かに丘陵があるが、国土全体が低地の平原であり干拓によって造られた海面下の土地が27%を占めている。
干拓事業は13世紀に始まり、17世紀に入って動力に風車が使われるようになると大きく飛躍し、アムステルダムやロッテルダム周辺の広大な土地が造られた。
20世紀に入ると、更に大規模な干拓が行なわれ、オランダの内海のゾイデル海は堤防によって外海から遮断され、総面積2,050平方キロにも及ぶ広大な干拓地が生まれた。残された内海は淡水化され、アイセルメール湖と呼ぼれている。オランダの総面積は、アイセルメール湖などを除くと、約3万4,000平方キロ(日本の九州程度の大きさ)で、全土の利用率は牧畜地・草原33%、農作地・園芸22%、森林10%、市街・道路等9%、産業地域1%、その他25%(河川、沼地、砂丘、荒涼地帯等)となっている。
オランダの総人口1,510万人(1991年)のうち、44%は人口10万人以上の都市に居住し、45%はユトレヒト州、南北ホラント州のいわゆるラントスタット・ホラントと呼ばれる地方に集中している。
ラントスタット・ホラント地域は、金属、電気、化学、ダイヤモンド加工業などの中心である首都アムステルダム(人口約70万人)、貨物取扱量で世界第1位の港湾都市で、造船、石油精製、石油化学工業でも欧州の中心であるロッテルダム(人口約58万人)、金属工業と国際見本市で知られるユトレヒト(人口約23万人)などの主要都市を擁し、名実ともにオランダの産業の中心地である。
オランダは、天然ガス、岩塩、僅かな石油を除き資源に恵まれていないにも拘らず、工業水準においても生活水準においても、欧州の大国に伍しているのは、開放経済体制の下で積極的に自由貿易を推進してきたことによる。事実、輸出入とも国内総生産(GDP)の50%以上を占め、人口1人当りの貿易額もベルギーとならん
 
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