日本財団 図書館


フ ラ ン ス
(1)一般事情
フランスは、西欧のほぼ中央部に位置し、日本の約1.5倍の面積(543,970?)を有し、国土の大部分は肥沃な平坦地で、気侯は典型的な西岸海洋性、地中海気侯の影響で年間を通じ比較的温暖である。
この恵まれた自然条件を背景に農牧業がよく発達し、欧州最大の農業国となっており、穀物、ワイン、酪農品などが主要な輸出品目となっている。農林水産業の労働人口が全労働人口に占める比率は約5.5%(89年)であり、また、この部門がGDP(国内総生産)に対する寄与率は約3.5%である。
作付けの地理的分布としては、パリ盆地周辺の小麦、大麦、アキテーヌ盆地のワイン、トウモロコシ、南部地中海沿岸地方では、果実、ワインの大生産地帯となっている。牧畜業は、大西洋沿岸、中央山塊地方などで盛んに行われている。
EC発足以来、農業はECの共通政策のもとに管理され、支持価格政策、加盟国市場開放などによって、多くの恩恵を受けてきたが、一方で余剰農産物やこれによる実質価格の低下などの問題も生じている。
更に、86年にスペインがECに加盟したことにより、穀物などフランス産の農産物の市場が拡大した半面、スペイン産の農産物(特に地中海沿岸地方の果物、野菜など)との競争が激化しており、その対策が急務となっている。
フランスは、鉱物資源にも恵まれており、特に北東部のロレーヌ地方では鉄鉱石が多量に生産されている。鉄鉱石のほかに、ボーキサイトやカリウムの生産も多い。また、亜鉛、鉛、バリウム、タングステンなども生産されているが、量的には少なく、フランス全体の鉱物資源自給率は15%程度に過ぎない。
 
前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION