市場経済への移行に必要な諸制度の整備を完成することは不可能となり、今後数年先のことと推測されている。
わが国との関係では、現在両国間に特段の政治的、経済的懸案事項もなく、近年における日本の経済発展への驚異と敬意の念もあって、対日感情は頗る良好であり、また対日関心も強い。
ルーマニア政府は、経済に関し「日本のモデル」を参考にしたい旨述べるなど、わが国に対し強い関心を示しており、また、わが国からの経済援助、投資、技術導入などについても大きな期待をよせている。
現在、ルーマニア政府は市場経済に向けての経済改革を継続しているが、未だ改革の移行期にあり、経済は非常に困難な状況にある。
わが国は、91年度から経済協力を開始し、研修員の受入れ、専門家の派遣などの技術協力を実施すると共に、金融支援を決定している。
貿易については、90年は輸出8,159万ドル(対前年比164%)、輸入9,858万ドル(同48.7%)であり、91年では輸出5,646万ドル(対前年比69.2%)、輸入9,450万ドル(同95.9%)、92年は輸出3,000万ドル、輸入7,900万ドルとなっており、日本の入超は変わらないが、貿易全体では縮小傾向にある。
ルーマニア政府は、経済再建には西側からの経済支援が不可欠としており、日本に対する期待も大きいことから、日本との経済関係は当面対ルーマニア経済協力を中心に推移するものと思われる。