日本財団 図書館




(B)海運事情と保有船主の実態

ポーランドは、バルト海に面した長さ約500kmにおよぶ海岸線をもち、沿岸には幾つかの港湾があり、主要港としてはグダニスク、グジニア、シュチェチンの各港がある。

しかし、これらの港湾には幾つかの制約条件があり、ポーランド海運の発展を妨げている。

まず第1に、バルト海は外洋との自由な航行ができないことである。デンマーク海峡の幅が狭く、15万DWT以上の船舶の通過ができない。ポーランド唯一の海港であるグダニスクの北港(Port Polnocny)だけが、ハシケ運搬によって、バルト海へ入って来るあらゆる種類の船舶を受け入れている状態である。

また、ポーランド領海の水域は、冬期の気候条件が極めて悪く、バルト海を航行中の船舶は年平均10日間は、運航の停止を余儀なくされ、10年に1度の割合で発生する厳寒の氷結時には、年平均40日間に亘って船舶の動きが封じられることがある。

従って、この海域における主要航路の殆とが、ポーランドに寄港せずに素通りしている。

ポーランドは海港や、港から港を結ぶ輸送路を開発するための大型投資や設備投資を行うだけの余力がなく、従ってポーランドの海運は国際競争力が弱く、利益のあがる大部分はドイツ、イタリア、旧ユーゴスラビアの船舶によって行われている。





前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION