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り、食料品は十分自給できる点がハンガリー経済の強味となっている。

しかし、鉱工業部門の生産設備の老朽化、国際競争力の低い点がハンガリー経済発展の大きな妨げとなっており、またエネルギー資源に恵まれていない点も大きな制約となっている。

他の旧コメコン諸国と同様に、旧ソ連邦の崩壊と混乱は旧ソ連原油の供給削減をもたらし、またハンガリー製機械、設備などの“大市場の喪失となり、ハンガリー貿易も再配簑を迫られている。

ハンガリーは、全面的な市場経済化を目指して、80年代後半から種々の経済改革を推進してきたが、EC準加盟国のための協定にポーランド、旧チェコスロバキアと並んで91年12月に正式調印を完了しており、西側への経済開放体制を更に推進していくものと思われる。

1991年におけるハンガリーの国民総生産(GNP)は、1989〜91年の平均価格で算定すると282億4,400万米ドルであり、国民1人当たり2,690米ドルに相当する。1980〜91年の期間に、GNPは実費で年平均0.5%の割合で増加し、1人当たりのGNPは年間0.7%増加したものと推定されている。この期間にハンガリーの人口は、年平均0.2%減少している。

ハンガリーの国内総生産(GDP)は、1980〜90年の期間に実質で年平均1.3%増加した。1989年のGDPは、実質で1.5%減、90年は2%の減少となった。

農業部門(林・漁業を含む)は、1991年にGDPの11.6%を占めた。92年には農業部門は全労働人口の13.9%を占めていた。

主要収穫物は、小麦、とうもろこし、大麦、砂糖大根、ポテトなどであり、ぶどうの栽培もまた重要である。1980年〜90年の期間に、農業生産は年平均0.1%の伸びを示したが、91年は90年に比べ13.2%増加した。

ハンガリーは、国土の3分の2が肥沃な農地で、多種類の作物を生産しており、十分に自給力を有している上に、農畜産品は輸出の貢要産品となっており、この事実が他の分野の経済改革を進める上で大きな支えとなっている。従って、政府は特に農業生産の振興に努力している。

90年現在、全農業生産額のうち農作物が51.1%、畜産物が48.9%と、両者はほぼ





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