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国内唯一の原子力発電所(コズロトウイ原発)は、1990年に電力エネルギーの約40%を供給していたが、91年末に原子炉3基が閉鎖されたため電力の生産量は著しく減少した。

従来、ブルガリアはエネルギー源のほとんどを旧ソ連から原油、石炭、天然ガス、電力といった形で輸入してきたが、旧ソ連の原油、石炭の生産低下による供給削減により大きな打撃を受けている。91年には両国間の協定により、ようやく650万トン程度の原油をバーター決済で確保するにとどまっている。

ブルガリアとしては、原油輸入の削減分をハード・カレンシーにより、他の産油国から購入しなければならず、外貨事情が極端に悪化しているブルガリアにとって経済発展の大きな制約要因となっている。

農業国で鉱物資源に乏しいうえ、人口が比較的少なく国内市場の狭小なブルガリアが第2次世界大戦後工業化を推進するうえで対外貿易は重要な意味をもっていた。コメコン諸国との取引が貿易総額の78.8%(1990年)を占め、対ソ貿易は全輸出入の60.3%(同年)を占めていた。

91年の経済改革に伴って、コメコン域内輸出より対西側輸出に力を注いだ結果、コメコン域内貿易は減少してきている。

資源の輸入は旧ソ連に依存し、石炭、天然ガス、コークスの輸入量の100%、石油、木材・銑鉄の85〜90%を旧ソ連に頼っていた。

一方、ECとの間では90年5月に経済・貿易協定が結ばれEC諸国との貿易拡大が期待されている。

90年のブルガリアの貿易は、コメコン諸国への輸出が前年比26.1%減、輸入が同17.5%減となった。輸出の減少が目立つなかで、ルーマニア(47%増)、中国(20%増)、北朝鮮(5倍増)などは逆に増加した。

輸入ではハンガリー(60%減)の減少が特に大きく、中国(43%増)は輸入でも増加した。

西側先進国との貿易は、輸出が前年比18.1%減、輸入が同31.5%減であった。極端な外貨不足のため、英国(16%増)、イタリア(6%増)を除き各国とも輸入は大幅に減少した。





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