オ一ストリアの農業生産は、国内食料需要の90%以上を満たしており、過剰の酪農品は輸出に向けられている。
主要作物は、小麦、大麦、とうもろこし、砂糖きび等である。
1980〜90年の期間に農業生産は平均年率1.3%の増加を示したが、89年には3.4%減少し、90年および91年は年率2.7%の減少となった。
オーストリアは、第2次大戦による荒廃で穀物、ポテト、砂糖、食肉、ミルクなど食料が極度に不足した。
戦後、政府は農業振興に全力を尽くし、50年代後半に農業再建が行われ、ほぼ自給もしくは一部輸出可能な生産量を取り戻した。
オーストリアは、国土の大部分が山岳におおわれ、耕地可能な面積は僅か20%、牧畜可能地も28.8%程度となっている。しかし、この農林、牧畜面積のなかで、少ない農業人口によって高い生産性をあげ自給率を高めている。
オーストリアの主要農業地帯は、地形により異なり、アルプス北部山麓地帯やドナウ川流域から東部低地の平原に接している地域である。
この地域では、耕作や牧畜、果実やブドウの栽培が盛んである。中部山岳地帯では牧畜と林業が行われ良質な肉牛が飼育されている。農林業は、経営規模からみると、10ヘクタール以下の小規模のものが53.3%を占め、100ヘクタール以上の大規模のものは2.1%に過ぎない。
林業では、連邦、州、市町村、協同組合などの所有のものが大規模経営の大部分を占めている。
最近は農産物の売買を協同組合を通じて行うことが多い。また、全国で212の農業耕作機械連盟があり、必要な機械や材料の購入などのため協会の形で運営されている。