はしがき
当会では昭和37年度より(財)日本船舶振興会からの補助を受けて、中小型船の輸出市場、または競争相手と目される国々の海運造船事情等について調査研究を行い報告書にまとめて刊行してまいりました。
現在それらの報告書は21エリア、約80カ国に及んでおります。
本年度はエリア13(ロシア、中国)、エリア14(オーストリア、ブルガリア、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア)の7カ国について調査研究を行いましたが本書は、そのうちエリア14(5カ国)の報告書であります。
これらの国々のうち、オーストリアを除く他の諸国は東欧に位置し、旧ソ連邦の竹のカーテン内に属していましたが、1991年のソ連邦の消滅に伴い、その社会体制、経済体制も大きく変貌を遂げました。
このため、情報の入手も非常に困難な状況下にありましたが、精一杯の調査研究を行いました。
本エリアの対象国の海運業は、オーストリア、ハンガリーの両国は内陸国のため、その規模は極めて小さく、また他の3カ国も不活発であります。
一方、造船業については、ポーランド、ルーマニア、ブルガリアは比較的発達しており、情報によれば更に設備の拡充等を進めている模様でありますので、今後とも、その動向を把握していく必要があると思われます。
わが国の造船界は、最近の急激な円高等により新造船需要は再び先行き不透明の状況にありますが、本書を輸出業務のためご利用いただければ幸いであります。