88年における石油の輸出は、石油価格の低迷に加え、輸出量も減少したため、石油の輸出全体に占める比率は32.5%にまで低下した。
一方、非石油製品の輸出は、特に製造品の輸出の伸びが著しく、史上最高の116億1,600万ドルに達し、輸出総額に占める割合は56.2%に達した。なかでも、輸送機器を中心とする機械機器および化学品の伸びが著しかった。部門別にみると、自動車および自動車エンジンの輸出は27億6,400万ドルに達し、製造業部門における最大の輸出品目となった。
飲食品、飲料、タバコの輸出は13億6,900万ドル(前年比4%増)、化学品は13億9,700万ドル(同28%増)と好調であった。
機械類の輸出は、情報関係電子機器の輸出が急増したため、前年比39%増の10億400万ドルに達した。
鉱産物の輸出は、前年比15%の6億6,000万ドルを記録したが、これは銅の輸出が特に好調であったことによる。
一方、輸入急増の要因としては、輸入食料品の価格上昇、輸入関税の引き下げ、事前輸入許可の撤廃、輸出向け工業消費財の輸入増大などが挙げられる。
なお、88年の国際収支の動向をみると、経常収支、資本収支のいずれも大幅な赤字を計上し、外貨準備高は71億2,700万ドルも減少し、65億8,800万ドルとなった。
この国際収支の悪化の要因としては、対外債務の金利に適用される国際金利水準が1%上昇したこと、原油価格が下落した半面、牛乳、穀物、バルブ、石油化学製品および工業用消費財などの輸入価格が上昇したため、交易条件が9.6%悪化したこと、85年以降進めている貿易の自由化が促進されたこと、非石油製品の輸出拡大および為替相場の切り下げにより輸入が増大したことなどが挙げられる。
貿易自由化については、最高関税率が40%から20%に引き下げられており、平均関税率は5.6%となっている。
メキシコの貿易相手国としては、伝統的に米国が輸出入とも圧倒的な地位を保っており、輸出入総額の63%前後を占めている。日本はメキシコの輸出先国としては第2位に、また輸入先国としては米国、西独に次いで第3位になっている。