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ア ル ジ ェ リ ア

(1)一般事情

 アルジェリアは、1962年の独立以来、農地改革・輸出指向型から食料自給への転換を目標とした農業政策を実施してきたが、農業部門は依然として低迷が続いている。
 アルジェリアは、国土面積が238万2,000Km2(日本の約6.4倍)で、世界でも第10位の大国ではあるが、その80%以上が砂漠と不毛の土地である。
 農業部門の国内総生産(GDP)への寄与率は、86年の11%から88年には約8%に低下し、また、工業化に伴い、農業人口の全労働人口に占める割合も低下し、88年には25%以下に減少している。
 地中海沿岸地方はテル平原と呼ばれ、農業に適しており、ぶどう、オレンジ、オリーブ、小麦、大麦、タバコ、野菜などを産出し、欧州、とくにフランスヘの野菜・果物の供給地となっている。地中海に臨むオラン港は、ぶどう酒、果物、その他農畜産物の欧州向け輸出港として知られている。オアシスでは、ナツメヤシの生産が盛んである。
 穀物の生産は、国内需要の僅から35%に過ぎず、小麦、大麦など穀物をはじめ、大量の食料(酪農品、植物性油、砂糟など)を海外からの輸入に依存している。88年の食料輸入は、輸入総額の25%にも達している。
 第2次開発5ヵ年計画(1985〜89年)では、農業部門の重要性を強調し、農業開発への投資額を全体の14.4%(前回5ヵ年計画の約2.5倍)に増加した。
 この結果、農業生産は最高を記録したが、88年は雨量不足、大群のイナゴの来襲による大災害などにより、穀物の収穫量は当初予定の350万トンを大幅に下回り、170万トンにとどまった。そのため、政府が最重要政策として実施してきた農業増産による食料自給率の改善から大きく後退し、外貨負担を増大する結果となった。
 北部のアトラス山系に沿ったショッツ高原は、牧草(アルファルファ草)が豊富で、牛(87年160万頭)、羊(同1,480万頭)、山羊(同310万頭)などの牧畜が重要な

 

 

 

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