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リ ビ ア

(1)一般事情

 リビア経済は、1950年代に国内に石油の埋蔵が発見される以前には、農牧業を中心とし、家畜、皮革、ナッツなどの僅かな輸出と自給農業とによって支えられていた。
 国土(1,775,500平方キロ)は、わが国の約4.7倍の広い面積であるが、その約95%は砂漠で占めており、現在、農耕の可能な面積は国土全体の僅か1.5%に過ぎず、その他は牧草地となっている。
 農耕地の約4分の3は、比較的降雨に恵まれた海岸線の狭いベルト地帯にあり、主に穀類、豆、野菜、果物などを生産している。主食の小麦と大麦の生産は、88年に至って漸く66%の自給が可能となった。
 しかし、農業生産は降雨量に大きく依存するので、これら主要作物の生産量は、常に天侯に左右されている。
 近年、政府の農業振興政策に墓づいて、農地の開拓や潅概が積極的に推進され、また、農業の機械化、肥料の普及、種子の改良などによって、農業生産性は著しく向上しているが、リビア農業は、砂漠、水源と労働カの不足という3つの墓本的な阻害要因から逃れられないのが現状である。
 従って、リビアは、農業用地の開発と農業用水の確保が農業政策の最重要課題となっている。また、主要農産地のトリポリ地方は、地下水が洞渇寸前であり、かつ塩害問題も深刻化しているため、南部砂漠地帯の地下水をパイプで地中海沿岸地帯に供給する大型プロジェクトが推進されている。
 この計画は、“Great Man−made River”Projectといわれ、長さ約4,000キロのバイブで輸送された水で、約185,000エーカーの土地を灌潮することを目的としている。これに使用する口径4メートルバイブの製造工場は既に86年4月に完成し操業を開始した。
 現在、リビアは食料の50%以上を輸入に依存し、食料は輸入総額の15%以上を占

 

 

 

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