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は恒常化している。このような貿易赤字を先進諸国からの借款、贈与、出稼ぎ労働者の送金、外貨準備の取り崩しなどでカバーしている。
 インドの対外債務残高は、92年12月末現在769億8,300万ドル(うち677億2,100万ドルは長期公的債務)に達しており、債務返済総額(元利合計)も累増し、インドの大きな財政負担となっている。
 1992/93年度の消費者物価上昇率は約10%であったが、93/94年度は6%〜7%前後に低下したと推定される。
 対インド外国直接投資は、91年中頃に経済自由化政策が開始されて以来、急増し、90年の13億ルピーに対し91年は53億ルピー(前年比4倍増)、92年は389億ルピー(同7.5倍増)に拡大した。
 93年1月〜6月の認可額は395億ルピーに達し、既に92年通年を上回っている。
 外国企業の多くは、91年以降の自由化政策を高く評価しているが、法人税や雇用問題などで不満を示している。しかし、外資の進出は著しく、認可件数、金額とも順調に伸びている。
 投資額の主要国・地域別シェアをみると、92年は米国が32%を占め、以下スイス18%、日本16%の上位3カ国が全体の66%を占めている。4位以下は、在外インド人11%、英国3%、オランダ2.5%、イタリア2.3%、ドイツ2.2%など欧州諸国が続いているが、最近の動向としては、従来の主要投資国である米国をはじめ欧州諸国に加え、東アジア、中南米の中所得国の進出が目立っている。
 投資対象は、電力、石油、化学、食品、電子機器、自動車、繊維、通信機器、産業用機械、その他多岐にわたっている。
 投資額の業種別シェアは、91年は電力関連24%、石油精製22%と、自由化政策の実施により新たに外資に開放されたエネルギー分野への投資が上位を占めた。92年は電力・石油関連39%、化学11%、食品加工10%、電子機器10%、次いで輸送機器、繊維、通信機器、産業用機械、家電の順となっている。93年も、新規認可業種への投資が多くみられる。
 インド経済は、経済改革の進展に伴い、欧米などの外資の参入による企業の活性化もあり、企業の合併・買収が広く行われている。金融部門の自由化により株式市場の活況、国営企業の民宮化なども一層進むものとみられる。

 

 

 

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