
イ ン ド
(1)一般事情
長年(1858〜1947年)にわたり、植民地として英国の統治下に置かれたインドは、一次産品型の経済体制を強いられ、独立後47年を経過した現在でも、ジュート、綿花、紅茶、豆類はインドの主要輸出品となっている。
独立後、インド政府も5カ年計画の実施などで工業化を推進しているが、国民の多くは貧困であり、国民1人当りのGNP(国民総生産)も、310ドル(1992年)と国際的にみてもかなり低い水準である。
それは、生産を増加させても、それを上回る人口増加と、農業中心の経済運営のため、生産が天候などの自然条件に左右される場合が多いためである。
また、所得水準も各州、各身分により格差が大きく、言語 (ヒン ディ語、英語、 ウルドウ 語、ベンガル語、 テルグ 語、その他の公用語14、地方語24 ) の面でも、宗教 ( ヒンドゥー教徒82.7%、イスラム教徒11.2%、キリスト教徒 a 6%、シク教徒1.9%、仏教徒0.7%、ジャイナ教徒0.5%、その他0.4% ) の点でも著しく多様性があり、国家として統一の意識をもって発展していくうえでの障害となっている。
石炭、鉄鉱石、クロム鉱、マンガン鉱などの鉱物資源、サバ、イワシ、マグロなどの底魚、海 遊 魚、エビなどの水産資源を豊富に保有しているが、巨大人口(91年約8億5千万人)を抱えているため、1人当りの分量は大きくない。
日本の8.7倍という広大な国土面積(3,287,263平方キロ)に巨大人口と豊富な資源が存在することにより、経済発展の可能性は潜在するが、まだそれを実現し得ないのが現状である。
世銀の推定によると、1992年におけるインドの国民総生産(GNP)は、1990年〜92年の平均価格をべ 一ス として算定すると、総額2,716億3,800万米ドルであり、国民1人当り約310ドルに相当する。
1985〜92年の期間に、国民1人当りのGNPは実質で平均年率3.3%の割合で増加している。この期間(85〜92年)にインドの人口は年平均2.1%の割合で増加している。
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