シンガポールは、火力発電所の燃料として炭化水素の輸入に依存しており、鉱物性燃料の輸入は、商品輸入総額の14%(92年)を占めている。
シンガポールの貿易収支(92年)は、49億米ドルの赤字を記録したが、経常収支は29億2,900万米ドルの黒字となった。
貿易収支は、恒常的に大幅な赤字を続けている。食料や天然資源に乏しく、また急速な工業化が進行しているシンガポールにとって、資本財の輸入が増加することは当然であるが、その赤字分は観光収入や投資収益を主とするサービス収入の順調な成長で、経常収支は堅調な黒字傾向を維持している。
94年の国際収支の動向をみると、商品貿易は、輸出が前年比20.7%増の1,463億3,200万シンガポール・ドル(以下、Sドル)、輸入が同13.4%増の1,466億9,000万Sドルで、商品貿易収支は赤字が前年の181億3,200万Sドルから3億5,800万Sドルヘと大幅に改善された。
サービス収支も同13.4%増の197億9,900万Sドルの黒字となり、この結果、経常収支は93年の83億5,800万Sドルから94年には182億5,300万Sドルヘと黒字幅は拡大した。
しかし、資本収支の黒字が前年比69.3%減少したこともあって、総合収支は73億200万Sドル(同39.9%減)の黒字に縮小した。