現在、マレーシアには鋼船の建造可能な造船所は18社あるが、木造漁船などの建造を専門とする小規模の造船所を含めると、約400社あるといわれ、そのうち約50社が東マレーシアのサバ州とサラワク州にあり、その他は西マレーシア(マレーシア半島)の主に東岸にある。
マレーシアの造船所は、漁船や島々の間を結ぶ旅客フェリーなどを建造する比較的小型の造船所グループと、近代的設備を有する比較的大型の造船所グルーブに大別される。
これら大型グループのうち、Malaysia Shipyard & Engineering Sdn Bhd(MSE)とSabah ShiPyard Sdn Bhd(SASHIP)は、マレーシアの2大造船所である。
MSE社は、ペルシャ湾と日本との間を航行する大型タンカーの修理を目的として設立され、1976年に操業を開始した。
現在、マレーシア唯一の大型船用修繕ドライドック(45万DWTと14万DWTの2基)を有するが、石油市場の変化に伴う稼働船腹量の減少と、ペルシア湾〜日本間に他社の修繕ドックが新規参入したこともあって、大型タンカーの修理業は競争が激化している。
同社は、新造船設備として最大10,000DWT型船の建造能力をもっているが、近い将来25,000DWTに拡大する計画である。
SASHIP社は、1972年に設立され、当初は小型漁船、曳船、フェリーなど建造していたが、76年に株主が変わり、サバ州政府の投資によって設備が拡充・近代化され、MSE社に次ぐマレーシア第2の造船所となった。
マレーシアにおける主要造船所の設備その他の概要は、次の通りである。