日本財団 図書館


製造業は、マレーシア最大の輸出部門であり、GDPへの寄与率は29,5%(93年)を占め、就業労働人口の約23.1%(同年)が、この部門に従事している。
 製造業部門の最も重要な分野は、生産総価格からみると、電気・電子機器(特にラジオ受信機、テレビ受像機)、食料製品、ゴム製品、工業化学品、木製品、石油精製、自動車などである。
 製造業のGDPは、1980〜91年の期間に年平均9.6%の割合で増加した。
 マレーシアにおけるエネルギー源は、主として国内産の石油に依存しているが、商業用エネルギー源としての原油への依存度は、85年の71%から93年には38%へと低下した。一方、天然ガスヘの依存度は、85年の19%が93年には33%へと上昇している。
 マレーシア経済は、かつてはゴムと錫を中心とする典型的なモノカルチャー型経済であったが、政府の輸入代替工業化政策の実施、積極的な外資企業誘致策による本格的な輸出指向工業化の推進など、急速な工業化を通じて、近年著しい経済成長を遂げている。
 95年のマレーシア経済は、引続き順調な輸出に加え、民間消費の増加を基礎に内需が拡大し、GDP成長率は実質8%を超える9.6%という高い成長を遂げている。また、消費者物価上昇率は、強い需要圧カはあるが、92年の4.7%から93年3.6%、95年3.5%へと低下している。失業率も91年の4.3%から93年3.0%、94年2.9%と低位にとどまっている。
 95年の製造業部門は、設備投資の拡大が奏功し、前年比14.7%増と9年連続の2桁成長となり、GDPシェアは93年の29.6%から33.1%となっている。
 また、建設業部門は、大規模プロジェクトのほか、住宅建設、商業ビル建設などが引き続き好調で、前年比15.2%増と7年連続で2桁成長を維持している。
 サービス業部門も、好調な経済を背景に8.9%増となっている。
 農林水産部門のGDPシェアは、93年の15.5%から94年14.8%、95年13.9%と低下してきている。
 鉱業部門は、原油および天然ガスの増産に加え、建設需要による採石部門の好調で、7.3%の成長となっている。
 貿易関係では、94年の輸出が1,536億8,800万リンギ(前年比26.8%増)、輸入が1,559億1,900万リンギ(同32.8%増)で、貿易収支は3年ぶりに、22億3,100万リンギの赤字に転じた。
 これは、内需の拡大に伴う部品など中間財や機械などの資本財の輸入が拡大したことと、円高などの為替変動要因によるものである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION