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第3章 肢体不自由者の生活設計を立てるには

はじめての海外旅行と同じようなもの

人は誰もが大なり小なり将来に対する不安を抱えて生きています。少しでもその不安を解消していくために今やらなくてはならないことは、まず自分たちの将来を見通すことと、それに対する準備をすることに他なりません。それが「生活設計」なのです。
ことに経済的な部分に関しては、この計画的な準備によってかなりの不安が解消できます。
ここでいう、「生活設計」の最終的な目的は、あくまでその計画(=目標)を実現するための手段を検討し、それを実行していくことにあるのだということをまず頭に入れておいてください。
私達の日常の経済活動にとって、お金と無縁の人生はありえず、日々の生活はもちろんのこと、冠婚葬祭を始めとする人生のさまざまな節目にはいずれもそれなりの資金が必要となります。
生活設計を立てるということは、基本的にはこうした資金を準備するために、いかに計画的、効果的にできるががその手段のポイントとなってきます。
肢体不自由児者を持つ家族では、さまざまな節目が特殊なものとなるケースも多く、事例も限られていることから全ての面において不安が募るものとなっています。
たとえば、はじめて海外旅行に出かけようというとき、事前に何を考え、どのような準備を行なうでしょう。
まったく何も考えず、何の準備もせずに、「行ってしまえばあとは何とかなる」という人も中にはいるかも知れません。しかし、通常は未知の場所への旅ということで、考えすぎるほどいろいろ考え、できるだけの準備をしてから出かけることが多いはずです。
海外といっても具体的にどの地域へ行くのか、交通機関や宿泊施設はどうなっていてどう利用するのか、お金はどんなかたちでいくらぐらい持っていくのか、何日間の日程で現地で何をするのか、荷物はどうするか、言葉の問題や治安の問題は、食事は、等々考え、情報を集め、手続きや準備するべき事柄が次から次へとでてきます。それらの事をすべてクリアしてはじめて、いくらか安心して旅行に望めるといったところでしょう。
「生活設計」というのはこれと同じことを、家族の将来というテーマについて行なうことだと理解していただければいいと思います。

 

 

 

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