
6 障害者に対する特別措置と減免制度
ここまで述べてきたように、肢体不自由児者をはじめとする障害者が地域で安定した生活を送るための、経済的自立を図る上で極めて重要な役割を果たしているものが年金や手当等の公的な所得保障です。
しかし、年金や各種手当自体には所得税等の税金はかからないものの、生活資金となるこれらの財源を消費、あるいは貯蓄・運用するときには税金がかかってくる場合もあります。
また父母などが、子どもの将来にわたっての生活費などの不足分を補う手段の選択肢として考えられるものに、贈与や相続による財産の移転があります。
障害者に対しては、国や地方公共団体の福祉施策としてさまざまなメニューが用意されているとともに、福祉制度の一環として税制面でもいくつかの特例制度や優遇措置が設けられていますが、税金は難解な部分が多く、また折角の優遇措置のあることを知らずにこれらの制度の活用を見逃している方も多いのではないでしょうか。(表20)
公的年金についても障害年金や遺族年金は、年金の性格から非課税の級とされていますし、税金の優遇制度としては住民税の特別障害者控除や相続税の障害者控除など、これまで簡単にのべてきたもの以外にも多くの特別措置や減免制度があります。(表21)
子どもの障害年金等による所得保障のシステムを理解するとともに、父母自身の老齢年金や遺族年金についても十分に理解し、日頃から所得と税金のバランスを考え、家庭のこれから将来にわたる様々なイベントの予定を総合的な生活設計として立てていくことが、大変重要なこととなっていきます。
肢体不自由者の高齢化と父母自身の高齢化を見据え、総合的な安定した生活設計を立てていくためには、これらの特別措置や減免制度の内容とシステムを理解し、個々のニーズに合わせて組み合わせていくことも大切なことです。
税金のうち障害者に対する優遇措置としては、国税では「所得税」「相続税」「贈与税」などがあり、地方税としては「個人住民税」「個人事業税」「自動車税」「自動車取得税」などがあります。
所得税の優遇措置としては「障害者控除」や「医療費控除」、「配偶者控除」や「扶養控除」がありますし、贈与税については「特別障害者扶養信託受益権」の贈与税の非課税や、相続税の「障害者控除」があり、自動車の取得については自動車税の「減免措置」などが受けられます。
また、障害に関係した所得(収入)にも税金をかけない規定が設けられており、主なものに「年金」「手当」などの収入を非課税とする特例措置や、「心身障害者扶養共済制度」(東京都の場合は東京都心身障害者扶養年金制度)など、地方公共団体が実施する共済制度に基づく「給付金」なども非課税となっています。
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