
4 相続と贈与
生活設計における不足額を賄うためには
肢体不自由児・者の生活資金の確保には、年金と手当類がその基幹となっていることは既に述べたとおりですが、将来にわたっては不安の方が大きなものとなっています。
障害者が地域で共に生活するためには、ノーマライゼーションの理念のもと、障害のない者と同等に生活し、活動する社会を構築していくことが最も必要なことですが、それには、父母当人の人生設計と障害をもつ子ども以外の兄弟姉妹の生活設計を総合的に考え、障害をもつ子どもにも安定した生活設計と人生計画を立てていってあげることが求められてきています。
すなわち、将来にわたって子どものために必要と考えられる不足額を手当する財源を、どこから、どうやって手当するかを考える必要があります。
これには大きく分けて3つの方法があります。
?子どもの貯蓄等の財産の活用による手当
?親から子どもへの財産の移転
?親の生命保険への加入
貯蓄等の財産の活用は文字通り、それまでの手当や年金など、子ども名義になっている預貯金やその他の財産を財源として、必要なときに必要な金額を取り崩していったりして不足額を手当する方法です。
しかし、子どもの分だけで足りなければ、あとは親などの扶養義務者の財産を活用するしかありませんので、親の財産をどう子どもに移すかが最大のテーマとなります。
具体的には、親の生前に子どもに財産を移転していく生前贈与と、親の相続時に相続財産として移転する2つの方法となります。贈与については後ほど詳しく述べます。
ただし、親にも当然自分たちの生活があるので、この方法にも限度があります。
そのような場合には、必要金額を死亡金額とした生命保険に親が加入して、親の死亡時に相続財産として子どもに移転することも確実で効果のある方法です。
このように、生活費などの不足額を手当する手段の選択肢として、「相続」と「贈与」についてそのしくみと、税金についてみてみましょう。
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