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2 年金と手当

障害者が経済的自立を図る上で極めて重要な役割を果たしているものが所得保障であり、それには障害基礎年金を軸とする「年金制度」と、障害による特別の負担の軽減を図るために支給される「各種手当制度」があります。
公的年金制度は、度重なる改正と経過措置などにより、私たちにとっては複雑でわかりにくい法律となっています。
公的年金制度とは、現役世代が高齢者世代を支えるという、世代間扶養の仕組みのもとに成り立っています。
わが国の公的年金制度は、全国民(20歳以上60歳未満の者)が加入し、基礎的給付を行う国民年金と、それに上乗せして報酬比例の年金を支給する被保険者の厚生年金保険および共済年金からなっていますが、国民全体の賃金や生活水準が向上すれば、それに応じて高齢者の老後保障を充実させるとともに、物価上昇に対応し、すべての国民に老後生活の経済的基盤を保障するという、社会保障としての機能を担っているのです。
さて、障害者のための施策の基本理念は、「障害者基本法」により雇用の促進、在宅障害者への支援、重度障害者の保護、教育、年金等、障害者のための施策の基本となる事項に関する規定が定められており、障害者福祉施策を推進する上で基本となるものといえます。
その他各省庁が行っている身体障害者福祉施策の基本法令としては主に表13のようなものがあり、それぞれに連携した対策や予算が組まれて推進されています。(表14)
さらに、平成7年(’95)12月には政府の障害者対策推進本部において、平成8年度(’96)から平成14年度(2002)までの7か年をその計画期間とする「障害者プラン〜ノーマライゼーション7か年戦略」が決定しました。この障害者プランは、平成5年(’93)3月に策定された「障害者に関する新長期計画」を更に推進していくための、重点施策計画としう性格をもち、平成14(2002)年度までに整備すべき数値目標の設定がなされるなど、具体的な整備目標を記述したものとなっています。
障害者が地域で自立を図るためには、このような医療、療育、教育、就労等の各種の制度やサービス等を活用していくとともに、経済的自立を目指すことも大切です。
公的年金制度では、20歳より前に発した障害についても障害基礎年金が支給されるので、原則として全ての成人障害者が年金を受給でき、障害基礎年金と障害厚生年金や共済年金が支給されるという、いわゆる2階建ての体系がとられています。(図19、表15)
また、年金制度の改革に伴い、それまでの重度の障害を持つ者に対して支給されていた福祉手当についても見直しが行われ、特に重度の障害者を対象とする特別障害者手当と、障害基礎年金

 

 

 

 

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