
第2章 図表でみる肢体不自由者の財と税
1 所得と税金
肢体不自由者が経済的自立を図る上で極めて重要な役割を果たしているものに、障害者に対する所得保障があります。
一方、全世界で税金の制度ない国はほとんどありません。各国とも国家の財政的運営にあてるために税制を定めており、これはわが国についても同じです。
障害者のみならず、少子・高齢社会が現実的なものとなっている今日、新たな社会保障制度の構築に向けてさまざまな取り組みがなされています。
わが国の年金制度は、国民皆年金体制が確立され、原則として全ての国民がいずれかの年金制度に加入することとされています。
これによって、障害者には昭和60年(’85)の年金制度の改革の際に、障害福祉年金から障害基礎年金への移行による大幅な年金額の引き上げや、福祉手当の見直しが行われるとともに、それ以降の改正では基本的に高齢化対応のための改正が続いています。
障害児者に対する公的な所得保障には、基本的に「障害基礎年金」、「特別障害者手当」と「障害児福祉手当」、父母に対して支給される「特別児童扶養手当」などの制度があります。
また、21世紀の高齢社会に向けて、子どもの障害年金等による所得保障とともに、父母自身の老齢年金や遺族年金についても十分に理解し、日頃から所得と税金のバランスを考え、家庭のこれから将来にわたる様々なイベントの予定を総合的な生活設計として立てていくことが、大変重要なこととなっていきます。
税金にはいろいろな「性質」や「内容」のものがありますので、それらの相違によってさまざまに分類することができますが、その代表的なものに「国税」と「地方税」とに分類する方法です。この分類のしかたは、税金を課税し徴収する権限がどこにあるのか、ということに着目しています。
国税と地方税は、法律の制定のしかたについても相違があり、国税はその税金の種類ごとに法律を定めており、所得税については所得税法に、法人税については法人税法に規定されています。これに対して地方税は、地方税法のなかで地方税のすべての税目に関して規定しています。
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