
4 家族形成の変容
人口増加が顕著となった大正14年(’25)から昭和25年(’50)まで生まれた世代は、多産多死の時期に生まれたため兄弟姉妹は4〜5人と多く、人口転換期世代といわれています。これらの世代が結婚をし、家族を形成していく段階では第一次ベビーブームとして出生率は高まったものの、核家族化し自らの子どもは2人という多産少死への人口転換を担い、出生率転換期ともいわれています。
昭和33年(’58)から48年(’73)にかけては、20歳代の出生力が横這いかむしろ上昇傾向にあったものの、30歳代で高齢出産忌避の風潮もあり下降傾向にありました。また第二次ベビーブームの到来により出生数も増加し合計特殊出生率安定期ともいわれています。
昭和49年(’74)年以降の出生数では、第一次ベビーブームのいわゆる団塊の世代の人たちが適齢期を過ぎ、第二次ベビーブームの人たちが適齢期を迎えていない、いわば適齢期の人たちの谷間であることと、出生率が年々低下記録を更新しており、少産少死という人口転機が起きていることから出生率再低下期ともいわれています。
かつてわが国では、祖父母、息子夫婦、子どもなどが同一の世帯に同居する多世代同居が普通であり、いわゆる大家族が社会の基礎的単位となっていました。しかし出産率転換期世代による核家族化が一般化し、高度経済成長の過程で産業が第一次産業から第二次、第三次産業へと転換するにつれ、多くの人々は家の外に働く場をもとめなければならなくなり人口構造の変化も生じてきました。
企業戦士といわれた団塊の世代がもたらした高度経済成長期には、都市部への労働力の集積が豊富な労働力の供給を可能にし単身赴任等による単身所帯も増え、結婚をしない男女が増えている現代も単独世帯が増加し、家族の形態に変容が生じてきている要因となっています。
わが国における家族類型世帯数の変化をみてみると、戦後、普通世帯の総数は昭和30年(’55)の1,700万世帯から平成6年(’94)の4,207万世帯へと約2.5倍増加しましたが、多世代同居の三世代世帯を中心とする「その他の親族世帯」は790万世帯前後でほとんど変化がありません。
他方、夫婦とその家族からなる核家族世帯は1,000世帯から2,430世帯へ増え、単独世帯においては60万世帯から890万世帯へと著しく増加しています。(図8)
その結果、三世代世帯を中心とする「その他の親族世帯」の割合は現象を続け、昭和30年(’55)の36.5%から平成4年(’92)の19.2%へと半分に減少した反面、核家族世帯は約60%とほぼ変化がありませんが、単独世帯の割合では3.4%から21.8%へと約6倍にも増えています。(図9).
このような単独世帯の増加等によって1世帯当たりの世帯人数も減少し続け、昭和30年(’55)には4.97人であった平均世帯人員が平成2年(’90)には3.05人となり、さらに、平成6年(’94)の
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