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3 婚期の変化と親子期間の長期化

これら出生率低下には、結婚年齢が遅くなり出産年齢も遅くなるという、結婚年齢および出産年齢の上昇、さらには結婚しない男女の増加という未婚率の上昇も要因の一つに挙げられます。
平均初婚年齢の推移をみると、昭和25年(’50)には男25.9歳、女23.0歳であったものが、その後上昇を続け、平成7年(’95)年にはそれぞれ28.5歳、26.3歳と約3歳高くなる傾向にあり、特に女性の初婚年齢が高くなる傾向にあります。(図4)
また、第一子出生時の母の平均出産年齢をみると、昭和45年(’70)以降上昇の一途をたどり、平成6年(’94)には27.4歳で第一子を生むのが平均的姿となっており、平均出生児数でみると昭和45(’70)年以降は2.2人前後で安定しており、結婚をした者の出生率にはそれほど変化はなく、近年の出生率の著しい低下には大きな影響を与えてはいません。結婚時期の遅れが出産時期の遅れにつながっており、むしろ未婚率の上昇による結婚割合の低下が挙げられます。(図5、図6)
未婚率は、初婚年齢の上昇や結婚に対する意識の変化に伴い、近年急速に上昇しています。
男の場合、1970年代以降から未婚率が上昇し、平成2年(’90)年には25〜29歳の64.4%、30〜34歳の32.6%が未婚となっており、50歳時点での未婚率を表す生涯未婚率は平成2年現在、5.6%となっています。
また女の場合でも、1970年代以降未婚率が上昇し始め、特に、ここ15年間における20代から30代前半の女の未婚率の上昇には著しいものがあり、平成6年(’94)には25〜29歳で46.0%が、30〜34歳では17.5%が未婚となっています。生涯未婚率も昭和50年(’70)年以降4%強で安定しており、結婚しない男女が増加することにより、諸外国のように婚外出生割合の低いわが国では、結婚していない男女が子どもをもつということは極めて小数なことから、新たな家族の形成にも影響が生じてきているといえます。(表7、図7)
合計特殊出生率は、結婚している女性の出生率を表す有配偶出生率と、結婚している者の割合を表す有配偶率とに分けられますが、合計特殊出生率の低下がどちらの率の低下によっているかをみると、有配偶出生率は1970年代にはマイナスに転じたものの、80年代にはプラスになっています。一方の有配偶率は70年代以降大きくマイナスに転じ、80年代にはマイナス0.36と低下傾向に一層の拍車がかかっていることからもその傾向がうかがえます。(表8)
このように、結婚した夫婦が平均2.2人の子どもをもっているにも関わらず、結婚しない男女の増加が、近年における出生率低下の要因になっていることが明らかになっています。
一方、長寿化の影響により、親子がともに生存する期間も長期化しています。
両親が息子夫婦と同居するケースを想定し、息子20歳、父親50歳というモデルに基づき試算すると、父親と息子が同時に生存している期間は、昭和初期(’26〜’30)には16.7年であったものが、

 

 

 

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