9・3 超長波と長波の伝搬
超長波(VLF)帯の伝搬は、電波が図9・5に示したように電離層で反射すると考えるよりは、マイクロ波が導波管の中を通ると考えるのがよい。船舶で利用されている超長波のシステムはオメガ航法システムであるが、その使用周波数に近い10kHzの電波を考えるとその波長は30kmとなり、電離層のD層の高さは昼間は70km、夜間は90kmなので、この高さと波長とは同オーダーになる。このため、オメガの電波は、地表面とD層を両面とする同心球の間を伝わっていき、これはマイクロ波の伝送に使用される導波管の中の伝搬と同じように考えることができる。ただし、地表面が海水面のようなところは電気の良導体であるから導波管壁