図5・1のように、ある回路にある振幅の入力信号が加えられ、出力としてその振幅,あるいは電力の増加した信号が得られるとき、その入力信号は増幅されたといい、その回路を増幅回路という。
増幅回路は小信号を使いやすい適当な大きさの信号にするために、ほとんどすべての電子機器に使用されている。例えば受信機では、微弱な受信電波の通信内容を音として聞くためには、幾つもの増幅回路を通して増幅し、スピーカーを働かしている。なお、増幅回路では、入力信号がそのまま成長して大きな出力信号になっているのではなく、電源から供給されるエネルギを入力信号で制御して、大きな出力信号に変えているのである。
5・1・1 エミッタ接地トランジスタ増幅回路の動作原理
トランジスタ回路は接地方式によりべース接地、エミッタ接地、コレクタ接地の3つの方式がある。それぞれの回路方式の特長は、べース接地回路では入力インピーダンスが非常に低く、出カインピーダンスが非常に高いので実用上