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9・4・2 絶縁材料の特性
(1)絶縁材料として必要な性質
(a)物理的性質 次に述べる絶縁耐力、絶縁抵抗が大きくなければならないことは勿論であるが、交流に対して誘電損が少なく耐弧性、耐コロナ性などが要求される。また、機械的性質、例えば、引張強さ、圧縮強さ、曲げ強さ等も十分あって、反面たわみ性、耐摩耗性加工性も用途によって重要視される。そして、機器の温度が上昇するにつれ絶縁材料の温度も上昇するので変質、劣化などないようでなければならない。その意味において、9・4・1(2)のように絶縁材料の耐熱区分が設けられ、指定温度限度内に使用する場合にはその電気権器は安全に使用できるものとされている。
(b)化学的性質 絶縁材料は、化学的にも安定であることは材料の劣化を防ぐために重要である。船舶用の場合では特に要求される。例えば、耐水性、耐油性、耐薬品性(耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性等)等の諸性質が要求される。
また、温度上昇にともなって炭化温度が高いこと、また、難燃性であることなどは特に重視しなければならない。使用場所にもよるが非爆発性でありかつ分割ガスにふれて金属に対し腐食性がないこと等も必要である。
(2)絶縁材料の絶縁抵抗
絶縁材料は電気的に高抵抗のもので、電流は流れにくいものであるが、その温度及び湿度又は絶縁材料のおかれている状態によって漏れ電流が流れる。一般に内部に流れる電流による抵抗を体積抵抗率及び表面に流れる電流による抵抗を表面抵抗率で表し、この両者を総称して絶縁抵抗といっている。普通絶縁抵抗試験と呼ばれるものは前記両者の組み合わされたものを試験し、その良否を判定するものである。
絶縁抵抗値はメガによってメグオーム(106Ω)を測定する。その値は絶縁材料の温度・湿度の上昇又は不純物量の増加とともに低下する傾向にある。そして絶縁抵抗と次に述べる絶縁耐力との関連性が必ず存在するとはいいがたいが、しかし、全然無関係ではない。普通は絶縁耐力試験を行う以前に絶縁抵抗値を測定して、その安全を確めた後にこれを実施し、また、電気機器を運転する。
船舶設備規定では次のように絶縁抵抗値の最低限を定めている。

 

 

 

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