でもこの電子は結晶を離れ、伝導電子として働く性質がある。(1・9図に於いて電子の抜けた孔は正孔となり電子と同様結晶内を動きまわる。また、熱エネルギーが与えられると電子が抜けでる。抜け出た電子は自由電子となり結晶の中を動きまわる。)
それゆえに、結合にたずさわっている電子は熱や光などのエネルギーを受ければ、容易に結晶原子の束縛を振り切って飛び出して伝導電子となり、また、電子が飛び出したあとに正孔ができる。これらの両者は結晶内を自由に動くことが可能であるから、電界を加えれば結晶内で電気伝導に役立つことになるこれが絶縁物と違った点である。そして伝導電子と正孔とは電気伝導の役目をするので、電荷の運び屋という意味でキャリアという。この状態を図示すれば図1・10のようになる。
図1・10
半導体に外部電源を加えれば正孔は電界の方向即ち外部電源の(-)に、電子は電界と逆方向即ち外部電源の(+)に向って移動して電気伝導が行われる。
1・6 電位差、起電力、電圧
図1.11
図1・11に示すように、正電荷を多くもっている導体Aと負電荷をもっている導体B又は大地(大地は零電位)とを導体で結べば、その瞬間、電荷は負電荷へ移動して中和し、また、零電荷へ移動して消える。このとき導体中に電流が流れる。これはA導体がB導体又は大地より電位が高いからであっていいかえればこの2点間に電位差があるからである。
電位差が零であれば電流が流れなくなる。
これを図1・12で説明すれば、A池とB他との間に水位の差があるのでA池の水は導通管を通じてB池に流れ込む。(図では50mの差がある。)この水の補充は高所の水源池から絶えず補われているとする。また、B池の水位は海面から150〔m〕の
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