1. 電気の基本概念
1・1 磁石
磁石の存在は紀元前500年頃から知られていた。当時ギリシャのマグネシア地方で、磁鉄鉱が発見され、これが鉄を吸いつける性質があるところから、ギリシア人は、この鉱石をマグニスと呼んで不思議がり魔よけに使っていたという伝説がある。その後魔よけに持っていたこの磁石がふとしたことから方向を示す性質のあることを発見し、しかもこれを針状に作って、わらにのせ水に浮かせてみれば地球の北をさす性質があるところから13世紀の始め頃になると、これを頼りに航海にまで応用された。これが磁気コンパスの始りである。その後いろいろの人によって磁石について研究され、今日の電気工学の基礎の一端をになうことにまで発展した。磁石の性質はこれを棒状にして糸で吊せばその棒は地球の南北方向に向きを変える、この場合、地球の北極附近を指す一端を磁石の北極(N極)、南極の附近を指す反対側の一端を南極(S極)といっている。このようにN極とS極は一つの磁石で常に対をなしている。このような極を磁極という。このほかに磁石は鉄を吸い付ける力がある。これを磁力という。
1・2 磁界・磁力線・磁力
図1・1
図1・1(a)は磁針のN極と磁石のN極とでは相反発した力が働き図1・1(b)ではN極とS極とでは互いに引き合う力が働くことが実験的にわかる。この作用を磁力作用という。
これを理解するためには、図1・2、図1・3に示すとおり目に見える磁力線を想定したほうが便利である。
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