日本財団 図書館


 

物理電池の一つの種類であるが、EPIRBやSARTでは、暗夜でも使用しなければならないので、一般的に物理電池の使用は不可能であろう。
一般に化学反応は、電子のやり取りによって行われるので、その現象を利用して電気エネルギーを取り出したり、蓄えたりする現象を利用したのが、化学電池である。化学電池には、可逆的でない化学反応を利用して電気エネルギーを生成し、使い捨てで使用される1次電池と、可逆的な化学反応を利用して電気エネルギーを蓄え、充電によって繰返して何回も使用できる2次電池、それに、より大規模に化学反応を利用する燃料電池などがある。
EPIRBやSARTに2次電池を使用することは可能であるが、現在のところその製品はなく、専ら、1次電池が使用されているので、以下1次電池に限って述べる。
1次電池にも、マンガン電池、アルカリマンガン電池、水銀電池、酸化銀電池、空気電池、リチウム電池などの非常に多くの種類の電池が有り、SARTの開発の過程では、これらの他に海水を電解液として使用する海水電池の使用なども考えられたが、現在は、SOS発信器には、マンガン電池が使用されているほか、アルカリマンガン電池とリチウム電池がその使用の対象になっている(現在の製品はすべてリチウム電池を使用しているが、今後アルカリマンガン電池の使用の可能性も残っている)。このうち、マンガン電池とアルカリマンガン電池については、SOS発信器の指導書のほうで解説してあるので、ここではリチウム電池との対比を中心に述べるに止どめる。
その使用の選択をするのに必要な電池の特性には、次のものがある。
(1) 作動状態での起電力:一つの電池(素電池)で発生される起電力(電圧)の公称の値(公称電圧)は電池の種類によって異なり、使用上必要な電圧は、素電池の直列接続で確保しなげればならない。しかし、実際の電池の端子電圧は、その使用電流、放電時間、周囲温度などによって異なってくるし、その変化の模様は、電池の種類や、電池の製作方法によって大きく変化するので、使用に当たってはその電池の特性について十分な知識を持っていなければならない。
(2) 使用電流(負荷):その電池を使用するときの定電圧回路を含めた電子機器の最大電流で電池を選定する必要がある。使用電流をふやすために素電池を並列接続することはない。
(3) 作動時間(容量):EPIRBやSART用の電池の選定で最も重要な電池の特性である。最近の電子機器では、電池の電圧をそのまま使用するのでなく、機器の中の定電圧回

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION