
4.3 500hPa高度と月平均波高 全国沿岸約50ヶ所の波浪観測データ、外洋10ヶ所のブイデータおよび外洋代表地点7ヶ所の波浪推算データを用いて、緯度経度5度格子の北半球の500hPa高度データとの相関解析を行った。 統計解析の対象は月平均波高の平年偏差と月平均500hPa高度の平年偏差である。統計期間は観測開始〜1994年(約10〜22年)である。解析結果を巻末資料8に掲載し、これらを以下にとりまとめる。 【太平洋沿岸波浪観測点】 ―高い相関を持つ500hPa高度の領域(太平洋沿岸)― 太平洋沿岸における月平均波高の偏差は、500hPa高度偏差と次の領域で正の高い相関を持つ(以後、高い相関とは相関係数0.6以上を言う)。 北日本(尻羽岬〜茨城県鹿島)沿岸では、冬季と秋季は北緯40度〜50度、東経150度〜160度の範囲で相関が高く、春季は北緯35度〜50度、東経150度〜170度の範囲で相関が高い。(図4.4、巻末資料8および9)。この物理的意味は、高相関域の緯度が偏西風の強風軸の位置と同じ季節変化をすることから、高層のプラネタリーウェイブの振幅が大きい時に地上では擾乱が発達し、これにより北太平洋沿岸で高波の出現頻度が多くなることが考えられる。 西日本(御前崎〜佐多岬)では、北緯30度〜40度のより低緯度で相関が高く、経度については広い範囲に相関の高い区域が広がる。北日本と西日本とで相関場の傾向が異なることから、波浪の源となる気象擾乱がこれらの沿岸では異なることが示唆される。 前ページ 目次へ 次ページ
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