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第3章 波浪特性の解析*

第2章で述べた波浪観測資料に基づくと、北半球のブイ観測地点および日本沿岸の波浪特性は次のようにまとめられる。なお、地点毎の波高と周期の季節変動、波高と周期の結合分布、波高の未超過確率、波高の再現期待値、月平均波高の経年変化、月平年値と月平均波高との差の経年変化は巻末資料にとりまとめた。

3.1 波高と周期の季節変動

太平洋沿岸海域は一般に、3月と9月を中心に月平均波高が高く、7月と12月を中心に波高が低い約6ヵ月周期の季節変化を示す。月平均周期は、波高とほぼ同様な6ヵ月周期の季節変化を示す。例外的に仙台新港では、冬季は波高は低いけれど周期が大きい。これは千島沖で発達した低気圧から波浪が低波高・長周期のうねりとなって伝播してきたものであろう(図3.1)。
月平均波高の年別変動幅は、日本沿岸に比較して太平洋沿岸が大きい。この理由は太平洋沿岸の月平均波高は、気象擾乱の発生頻度等の年々の変動に強く影響を受けていることによるものであろう。(地点別・月別の変動幅については、測得率の小さい地点を除いて解析する必要がある。測得率は平成7年度報告書に掲載した。)
日本海沿岸では、月平均波高は12・1月に高く、6・7月に低い12ヵ月周期の変動を示す(図3.2)。月平均周期も波高と同様に、冬季に長く夏季に短い。日本海ブイ(No.21002)と三陸沖ブイ(No.21001)のある海域では、波高は冬季に高く夏季に低い(図3.3)。周期は夏季に長く、冬季に短い。波高が低い時の日本海ブイの周期の精度は悪いので、解析から除いて考える必要がある。
東シナ海(No.22001)、四国沖ブイ(No.21004)、南方ブイ(No.21003)では、秋季から春季(8〜3月)にかけて波高が高く、春季から夏季(4〜7月)に波高が低いという傾向を示す(図3.4)。
*)執筆者 岡田弘三、宇都宮好博

 

 

 

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