
3. 高度情報化に係わる啓蒙活動
啓蒙活動の趣旨
日本において工業化で一旦成功を見た社会構造の組織では、一般的にこれまでボトム・アップの形で新製品の開発等が進められた。高度情報化社会は、新産業革命の到来と言われる大きな変革の奔流である。改革には、組織の首脳が認知しトップ・ダウンが無ければボトムからは動けないのである。コンピュターネットワーク時代の到来で社会全体の取り込みが急務である。したがって、経営首脳を対象に時代の変革とは何であるかを理解を得ることが重要である。
3.1 講演会
◇経営トップ向け講演会 講師:根津和雄氏
3.1.1 「CALSで目指す米国製造業躍進のシナリオ」 東京会場 平成8年10月9日
3.1.2 「CALS時代の製品開発プロセスの変革と経営革新」大阪会場 平成9年2月20日
板津氏は、長年JIT(ジャスト・イン・タイム)、CIM(コンピュータ・インテグレーション・マニュファクチャリング)の推進に携わり、この分野で中小企業大学校講師を勤め、コンサルタンツ業を自営し、年間数回米国企業に立ち入り製造業の現場を視察を継続している。米国国防総省のCALSを商業分野に転用するのを最初に日本に紹介し、CALS技術研究組合の発足のきっかけ作りとなった。CIMの延長線上に位置するCALSの原点、定義、理論的構造寺及び米国製造業における取り組みの現状を説明した。
1. 時代は、マスプロからマス・カスタマイゼーションへと転換。
マスプロ製品は労働賃金の安い途上国へ移転。如何に顧客の変化する要求に即応力を持つかが生き残りのキーとなる。
2. CALSの奔流は、以前のSISのような一時的な流行現象とは異なり、21世紀の産業界の基調となり得る。理論的にも現時点で最良と考えられる。
3. CALSの定義は、「すべてのデジタル・データに基づいて製品のトータル・ライフサイクルにおいて、先端技術の応用ビジネスプロセスの変更および国際規格や標準などを総合的に利用する事によって、より効果的な製品開発や商取引と管理を可能とする政府と産業界の戦略である。」(米国防総省:シャロン・ケメラー発表)である。一見、規制のように見えるが、規制ではなく、米国的誘導ビジョンであることである。
4. 軍用CALSは、ライフサイクルが長期であり、廃棄の考えが違う。MIL規格は、必ず戦いに勝利する事にあるが、商用CALSはライフサイクルが短く、経済性に成り立つためには簡易性がなくてはならない。CALSは、技術でもシステムでもない、考え方であり、戦略である。
5. 米産業界の現在のキーワードは、「スピード、スピード、スピード」である。設計、試作の物づくりのスピード化を紹介する。CADから用紙に書かせる、次に用紙を切り積層しモデルとする。検証結果をNCプログラマーに渡す。CAMシングルモデ
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