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3.2.5 運用(機器の故障対応)

 

シナリオ
■鹿島灘沖を航行中の船舶A丸から、エンジンの異常による緊急船舶電話が船会社に入った。
■船会社は、A丸に現在位置と事故の状況を確認し、『鹿島灘沖合い20Km、北海道に向かって航行中、事故状況はクランクケースに火が入った』との情報を得た。直ちに安全弁の確認を行いつつ、2機2軸船であるので片舷運転を行うよう指示した。
■船会社は、状況報告書を作成の上、関係部署へ連絡すると共に、造船会社およびエンジンメーカにも同報告書をインターネットを介して対策を協議する。
■連絡を受けた造船会社およびエンジンメーカは、異常原因究明のため対話型電子技術マニュアルを使用した故障解析手順に従って故障診断を実施する。その際、技術情報データベースを基に、過去のトラブル事例やA丸の運行時間、設計情報(図書、図面)の調査・検討を行う。
■造船会社はエンジンメーカの協力を得て、対策案をまとめた技術連絡票を船会社並びに運行会社に提示し、シリンダーの交換を決定する。
■エンジンメーカは、H港にある代理店の保守・サービス部品の在庫状況を保守・サービス部品データベースから検索し、直ちにシリンダーの交換を指示すると共に、状況を造船会社、船会社、運行会社、A丸に同時発信し、航行スケジュールの確保が可能かどうかを確認する。
■A丸はH港に寄港し、代理店の指示ならびに据付・運転履歴情報、オーバーホールマニュアルなどを参考にしながら、問題のシリンダーを交換し正常稼動を確認の上、最少のロスで復航する、

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業務効果
■階層化構成を成した機器構成と機器に付随する設計情報、連用履歴情報との密接な連係により、機器構成を意識した情報照会が迅速に行え、運用・保守の効率化が図れる。
■対話型電子技術マニュアル(IETM)の利用により、必要な場所での故障解析手順に沿った適切な故障解析診断支援が行え、運行保全上の問題解決支援に役立つ。
■情報の同時発信により、関係者が同一の認識上に立つことが可能で、事故などの緊急対応に適切かつ迅速な指示を、間違いなく最前線に伝えることが可能となる。
■運行停止ロスを最も少なくして不稼働損を抑える

 

 

 

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