
3.1.4 高度情報化のための今後の課題
(1)推進のための支援整備
舶用工業においては、主に企業規模によって、情報化のレベル、システムヘの投資(意欲、余裕、技術)、情報化のメリット享受レベルなどに、大きな差が見られる。必然的に、情報化に対して推進派と懐疑派(消極派)が生まれることになる。
しかし、今現在の直接的なメリットを定量化しにくいという理由で、情報化への取り組みを避けていては、やがて気がついた時に遅きに失するということにもなりかねない。それほど情報化の時代は、急速に動いている。従って、舶用工業会の会員企業が、いつでも情報化に向けた取り組みができるように、また取り組みに向けた社内体制を整える事ができるように、啓蒙活動をはじめ、情報化への取り組みの支援整備を業界として図る必要がある。
(2)業界標準の設定
?入力・交換情報の標準化
データ項目と定義、形式、記述方法、伝送順序、データ交換の規則などの業界としての標準を定める必要がある。当然のことながら舶用工業の場合、標準化にあたっては、特に造船及び関係機関とのやり取りを考慮しなければならない。
?情報公開と共有化のためのルール策定
ルールの設定は、情報交換の時間、回数、優先度、情報公開の限度、情報交換の際の認証およびデータ承認など速やかで確実な情報交換にとって不可欠である。
?ソフトウェア、情報交換規約(プロトコル)の統一
SGML(文書規格)、IGES(画像規格)、STEP(製品モデル規格)などの標準規格の採用は、情報化に際して重要である。
(3)社内情報システム環境の整備
製品のライフサイクルに関わる情報をシステム化し、業務の効率を向上させることが情報化の目標である。そのためには、ライフサイクル情報に対して関連する部署が、情報の発信と受信ができるように業務の見直しを図らなければその効果は期待したもにはならない。すなわち情報化では、『業務の合理化』と『情報の共有化』が切り離せないものである。時に、製造メーカにとって設計データは、社内情報の最上流に位置づけられるため、設計データをライフサイクル情報の統合化を中心に置いたシステムの構築が重要ある。
(4)セキュリティ
セキュリティは、高度情報化システムにとって、最も重要な問題の1つである。セキュリティには、情報の機密と、安全性の2点から考えなければならない問題がある。
?情報の機密:情報の機密を確保するためには、社外は当然としても、社内においても、公開情報と機密情報を厳密に区別して、パスワード等によって情報への直
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