日本財団 図書館


 

第3章 舶用工業の高度情報化への対応

 

高度情報化のトレンドは、飛躍的なスピードと広がりを持って、我々の社会を席捲してきている。現在各界で行われているCALS推進活動も、21世紀のマルチメディア社会への進展に必要な助走であり、パーソナルコンピュータとインターネットの爆発的な普及は、高度情報化社会への進展の証といえる。これらの動きは単なる情報の電子化に留まるものではなく、社会構造の大変革をももたらすものとなり、新産業革命であると言われる由縁である。
高度情報化の到来を予想し、我が国においても造船業界、プラント業界など10の産業分野で大々的な実証実験が開始されるなど、CALS導入ニーズは高まりを見せている。造船・海運界でのCALS導入は、舶用工業界にも少なからず影響を与え、構造的な変革をもたらすに違いない。
本章では、舶用工業における高度情報化推進の具体的な取組み(特に業務の再構築の観点から見た取組み)、そしてCALSの理念が完全な形で完成し社会に出現するであろう2010年を想定し、舶用工業CALSのグランドデザインをいくつかの視点から描くこととする。
3.1 高度情報化推進への取組
舶用工業が取組むべき新しい業務のあり方を考察することによって、その前提となる情報化、システム化のイメージをデザインする。
高度情報化は、それ自体が目的ではなく、個別企業の集まりである舶用工業界にとって、永続的発展に不可欠な要素であることをまず認識する必要がある。しかし情報化の出発点や目指す方向は、業種、企業規模によって大きく異なる。従って、個々の企業の置かれた状況や業界全体として取り組むべき問題点等を把握しながら、業務改善をすすめる必要がある。この様な視点から、最初に業界全体の業務革新の方向と個別企業が取り組むべきポイントを表3.1.1にまとめた。

065-1.gif

表3.1.1 舶用工業界の業務革新と各企業の体質改善

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION