
2.1.2 現状業務プロセスモデルの解説
(1)業務の特徴
?受注設計
舶用工業の現状業務を他の産業と比較した場合、最も顕著な相違点は、受注設計(標準仕様の変更)及び設計変更が頻繁に発生しているという点である。一般的な製造業においては、標準的なラインナップ製品の繰り返し生産が主流で、受注設計は特注時に限定されるのが通常である。
一方、舶用工業においては、同一船主からの受注であっても、同一製品を製造・納品する場合の方がまれで、極端に言えば受注の都度製作仕様が異なり、そのため受注設計が頻繁に発生している。
また船舶への搭載機器のため、船の建造仕様が固まるまで仕様のフィックスができず、受注設計の変更頻度が高いこと、仕様確定から納品までの期間が短いことも特徴の1つである。
?検査・立会
製品の検査・立会も舶用工業の特色の1つである。立会当事者が複数あること(造船所、船主、船級協会など)、完成時立会と据付・試運転時の立会があることなどである。他の産業で見れば、プラント業に酷似している。
なお、検査立会をどの業務に位置づけるかに関しては、ワーキンググループの中でも議論があったところであるが、完成時の検査は完成・検査業務とし、据付・試運転は保守・サービス業務の一環として捉えることとした。
(2)社内外交換情報と組織・業務との関係
情報というものは、入力情報か出力情報かに分類され、発信源あるいは送信先を持つ。この関係を現状業務プロセスモデル(展開図)では、組織から業務に入っている情報を入力情報とし、矢印が出ている組織を情報の発信源としている。一方、業務から組織に出ている情報を出力情報とし、矢印が入っている組織を情報の送信先としている。
この関係から全体を考察すると、受注、開発設計、受注設計、完成・検査、保守・サービスといった広い業務範囲で、顧客である造船会社だけでなく、造船会社への発注元である船主や公的機関である船級協会との間で、様々な情報のやり取りを行っていることが分かる。
交換情報のうち、最もやり取りの頻度の高い情報は、部品情報や部品構成情報、各種図面情報などの設計・技術情報であり、これは社内外を問わず組織間でやり取りされている。
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