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はじめに

本報告書は、日本財団の平成8年度の補助事業として実施した「舶用工業の高度情報化システムに関する調査研究」事業の結果を取りまとめたものである。
平成8年7月、海運造船合理化審議会から「今後の我が国造船及び舶用工業のあり方について」と題する意見書が出された。この意見書では、我が国造船・舶用工業が今後とも国内の基幹的な産業として存立し、造船分野のリーディングカントリーとして国際的にリーダーシップを発揮していくためには、国内的には産業の成熟化に対応しうる先端的技術を駆使した次世代造船業の構築及び舶用工業における高度情報化の推進、対外的には、国際競争の激化に対応しうる国際競争力の更なる強化を図ること等が指摘されている。
これを受け、本会では、2005〜2010年に現実可能な高度情報化された舶用工業の具体的な調査研究を、平成8年度から10年度までの3カ年をかけて実施し、舶用工業をとりまく諸問題に対応しうる体制と仕組みを明示し、舶用工業事業者の経営方針の一助となることを目指している。
3カ年度計画の初年度となる平成8年度は、高度情報化の概念を会員企業に知ってもらうことを第一義とし、CALSの概念並びにCALSを中心とした我が国並びに欧米での高度情報化への取り組みについて紹介し、舶用工業の現状を舶用工業事業者へのアンケート調査結果並びにワーキング・グループの活動により作成した業務プロセスモデルから舶用工業の特徴、問題点等を整理し、実態把握を行い、CALSの構成要素や効果を示しつつ、舶用工業の高度情報化への対応及びCALS導入後の舶用工業の将来像を想定した。
本調査研究は、「舶用工業の高度情報化システム委員会(委員長:東京大学工学部教授小山健夫氏)」のもとにワーキング・グループ(主査:東京大学工学部助教授鎌田実氏)を置いて推進し、さらには、運輸省海上技術安全局のご指導並びに調査委託先である?横河総合研究所のご協力により実施した。
本報告書のとりまとめにあたり、委員の方をはじめとするこれらの方々に対しであらためて衷心より感謝の意を表するとともに、本報告書が大いに活用され業界の振興、企業の経営に役立てていただければ幸いに存じます。
平成9年3月
社団法人日本舶用工業会

 

 

 

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