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5 船型創成とフェアリング

Autoshipシステムにおいては、コンピュータ支援による各造船工程の効率を最大限向上させるため、初期の基本設計段階で設計者自らが、十分にフェアリングされて整った3次元立体船型を創成し、その3次元立体船型を基に基本設計から、更に現図作業へと進み、必要とするNCデータ等を作成します。これは既存の造船工程に匹敵できる造船設計/現図システムとして、複数台のコンピュータを複数の人員で操作し、効率良く作業を進めて行くためには、元データの一元化がどのようなCAD/CAMシステムにおいても何よりも重要になるからです。基本設計段階の船型と現図作業段階の船型に整合性がない場合、船型創成作業を繰返し行なうことになり、更にそれぞれの段階で作成されるCADデータや、NCデータに整合性が取れなくなってしまいます。これでは既存の現図場での現図作業をなくす事はできず、コンピュータ導入のメリットはほとんど得られません。従って、フェアリングされて整った船型をより速い段階で創成することが重要になりますが、設計者自らがAutoshipの操作に習熟した段階においては既存の基本設計手順に従うことなく、船型創成もコンピュータ内のタイプシップを基にして、コンピュータの画面上で行なえるようにすることを目指す必要があります。しかし、Autoshipシステム導入の初期段階においては、既存の船型データを基に船型を創成し、コンピュータの画面上でフェアリングを行なう作業が生じてきます。そこで、199総トン型貨物船を例にして、線図及びオフセット表から船型を創成していく手順を解説します。

 

5.1

Autoshipで船形を創成するにはいろいろな方法があるのですが、その方法の一つとして、その船形をステーションごとに座標で表わすオフセットデータより、Autoshipに船型データを入力する方法が考えられます。それには、直接Autoshipにオフセットデータを入力してもいいのですが、作成後、座標値は残らないので、元データの変更が生じたり、Deg.(次数)を変更して線の性質(スムーズさ=バテンの硬さ)を変更して作成したい時はまた最初からオフセットデータを入力し直さなければなりません。それでは効率が悪いので、ここではMS-Excel(マイクロソフト エクセル)を利用します。MS-Excelにオフセットデータを保存しておくと何度も座標値をAutoshipに呼び込めるので大変便利です。

簡単な手順を説明します。

?@MS-Excelにオフセットデータを入力します。

?Aそのオフセットデータを使用して、Autoshipでセクションラインを作製します。

?Bそのセクションラインをフェアリングします。

?Cフェアリングしたセクションラインを通る曲面(ハル)をST0.5近辺からST9.75近辺まで自動作成させます。

?D曲面(ハル)をラフにフェアリングします。

?E曲面(ハル)の船首部及び船尾部を、ステムライン及びスターンラインに合わせる様に曲面(ハル)を伸ばして船型として整えます。

?F最終的なフェアリングを行います。

?Gオプションとして、その他の付加物を創成したり、デッキ、上部構造物を創成します。

?H線図用データや構造図用データ等を出力します。

これらの手順の中で、最終フェアリングを行う前に、Autohydro用データを出力して船舶諸計算を実行したり、Autopower用データを出力して抵抗・必要馬力計算を実行して、その結果を船型に反映させ、船型の修正を行うという作業を数回〜数十回繰り返して設計者の求める船型を創成します。

 

 

 

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