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7−2 操業コスト低減化を図ったほたてけたびき網漁船
7−2−1 設計概念
【1】概要
前述のとおり、ほたてけたびき網漁業=「手ぐり第3種(ほたてけた)」は、正確には漁業法(第66条第2項)により小型機船底びき網漁業として規定され、総トン数15トン未満の動力漁船によることとなっている。従って、船型開発を行った結果が実現されるためには、法律改正が必要となる。
本調査研究においては、法律改正の妥当性及び可否を検討するものではなく、あくまでも北海道における漁船建造の有望なマーケットの一つとしてこの漁業種類を捉え、技術開発の観点から本件開発を試みるものである。
こうした基本的認識を踏まえた上で、以下は現状の操作方法の下で、主として漁獲物の搭載重量を増加させることによる操業コスト削減及び船上作業における労力の低減を図ることを目的として検討を行った結果である。
本船の特徴は、次のとおりである。
?@積載重量を18トンから30トンに増加させ、操業コストの削減をはかる。このため、
・総トン数19トン型をもって計画し、船臆容積の増加を図る。
・船体重量の軽量化のためアルミ合金製とし、積載重量の増加を図る。
・推進軸系にV字型ドライブ減速装置を採用し、主機関の位置を従来より後方位置として、船鎗の容積を増加させる。
?A船上作業における労力の低減を図るため、
・敷板の高さをハッチコーミングの高さと同一とすることで、船艙への生成員の投入を容易とし、労力の削減を図る。
・甲板上舷側に雑物投棄用の“トイ”を設け、流水により雑物を舷外に投棄する構造とすることにより雑物投棄のための労力低減を図る。
・甲板を200mm程度“トイ”内側間に隆起させて、当該部の艙内深さを増加させることにより、生貝の槍内の隅々への押し込み作業の軽減を図る。
?B動揺の低減を図るため、幅広とするとともに、ビルジキールを設ける。
?C甲板上機関室囲壁を極力縮小し、甲板上の作業スペースを従来船に比較し増大させる。併せて、囲壁外への突起を防ぎ、“カゴ”等による作業性の向上を図る。
?D甲板上に敷板を設け、船体上甲板の保護を図る。これにより、漁具、用具等に起因する損傷は大幅に減少し、保守費の節約となる。
?E船内の一次動力源を油圧に統一することにより、動力システムの簡素化及びメンテナンス性の向上を図る。
?F機関排気は船尾排気とし、煙害を防止する。
【2】総トン数
総トン数は19トンとする。これは現行のほたてけたびき網漁船の規模の範囲内にとどめるこ

 

 

 

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