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6 開発テーマの選定

6−1 開発テーマの候補と絞り込み
ヒアリング調査の結果から、ヒアリングの際の観点別に開発テーマの候補として以下をリストアップした。

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上記の各候補を「新造船の建造意欲・投資体力」「開発の効果・有用性」「魚種別・漁業種類別の収益性」を基準として、以下に評価し開発テーマを絞り込む。
?@コンブ漁場における雑海藻駆除のための船舶、装置
・「新造船の建造意欲。投資体力」という観点から評価すると、仮に本件の開発が成功した場合には、すぐにでも導入したいとする意向があり、投資意欲は十分である。
・「開発の効果・有用性」という観点からは、D町の例では、現状でも年間約50百万円もの費用を投じてコンブ漁場の雑海藻を駆除している状況にあるため、仮に本件の開発が成功し、しかも漁業者自らが作業して雑海藻を駆除することになれば、従来、外部業者に委託するために生じていたこの経費が節約できるなど、効果は極めて高い。
・「魚種別・漁業種類別の収益性」の観点からは、同町周辺海域で生産される天然マコンブは全国的な最高級のブランドとして取り扱われており、収益性は高い。また、コンブかIQ品目であるため、輸入は2,000トン程度に抑えられていることから、輸入品による影響は比較的小さく、価格的に安定している。
?Aはえなわ漁業における漁具の準備・巻き取りの自動化装置
・「新造船の建造意欲・投資体力」という観点から評価すると、「はえなわ漁の自動化(漁具の準備・巻き取り等の自動化)の必要性は感じているが、費用をかけてまで自動化する経営体力がない」ということで、多くは期待できない。
・「開発の効果・有用性」という観点からは、はえなわ漁業の経営体数が北海道全体で昭和59年の679経営体から平成6年の453経営体に10年間で約33%も減少しており、仮に本件の開発が成功しても効果の及ぶ対象は限られている。
・「魚種別・漁業種類別の収益性」の観点からは、すけとうだらはえなわの収益性は、近年、粗利益率でほぼ10〜20%を確保しており、まずまずの水準と評価できる。
?B定置網漁業における漁網に見合った船型
・「新造船の建造意欲・投資体力」及び「魚種別・漁業種類別の収益性」という観点から評価すると、さけ定置を例にとれば、粗利益率はほぼ良好な水準にあるものの、近年、魚価は趨勢的な低下傾向にあり「定置は魚価低迷で採算が悪化しているので、新造は困難」とする見方があるなど、あまり多くを期待できない。

 

 

 

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