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3−2 取り組み方策
前述のように、道内中小造船業はこれまでの建造実績として、「沖合底びき網」「混合」「定置」の各漁船に強みを持ち、逆に「小型機船底びき」には弱いと指摘できる。「沖合底びき網」と「定置」は、今後厳しい状況が予想され、この分野で実績のある北海道の造船所としては早急な対応を迫られている。
後述するヒアリング調査の結果からもうかがわれるように、全般的に厳しい漁業経営環境下にありながらも、地域や漁業種類によっては比較的堅実な経営を維持している漁業も確実に存在している。そうした地域・漁業におては高い設備投資意欲と継続的な建造実績及び今後の建造予定が認められる一方で、漁船建造が道外に流出していることも指摘できる。その原因として、道内造船所の営業活動に疑問を持つ意見も聞かれる。
漁船の建造と修理に大きく依存してきた道内中小造船業界では、こうした厳しい状況を踏まえ、当面期待できる経営が比較的良好な漁業分野での新規建造受注に全力をあげて取り組むべきであり・そのためには、「新造船建造(新規設備導入)意欲・投資体力」のある地域・漁業種類を見極め、エンジンメーカーや漁網メーカーとのタイアップをも絡めた積極的な営業姿勢が必要である。
さらに、資源管理型漁業の実現に向けた各種取り組みに関する情報を収集しつつ、漁業のニーズに見合った技術開発を進めこれを提案していくなど、漁業者にとっての「開発の効果・有用性」を基準として、より有望なテーマに絞り込んだ漁業の将来像を意識した対応か求められてし、る。
また、音や臭い、トイレなどの面で改善を図った釣り人に快適な「遊漁船」にみられるような、ユーザーのニーズを先取りした提案を造船所側から漁業者に行うなど、市場創造型の事業展開への指向も望まれる。

 

 

 

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