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3 造船業界の今後の経営方針
3−1 道内造船所が取り組むべきターゲット
先にみてきた海洋土木工事の動向と、ヒアリング等で明らかになった海洋土木事業者の今後の作業船市場動向の捉え方等から、道内造船業者が作業船分野に参入するに当たってのターゲットを考察した場合、以下のようになる。
【1】100〜150トン吊り能力級の起重機船・更新時期に際しての代替需要

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上表に掲げたように、道内造船業者が今後メインターゲットとして積極的な新造受注取り込みを図るべき作業船として、100〜150トン吊り能力級の起重機船が考えられ、かつ更新時期に際しての代替建造を狙い目とするべきであろう。その根拠としては以下の3点があげられる。
A 海洋土木工事の事業規模の横這化
国及び北海道が主管する港湾整備事業・漁港整備事業・沿岸漁場整備開発事業・海岸事業に関しては、各実施主体のヒアリング調査等により、今後は事業規模の大幅な増加は見込めず、現状横這い程度での推移となるであろうとのある程度一致した見通しが得られた。
B 海洋土木事業者の設備投資意欲の停滞感
海洋土木事業者各社からのヒアリングでは、ほとんどの海洋土木事業者は今後の海洋土木工事の発注状況に関して、先行き不透明感を強めていることが明らかになった。さらに、現状横這い程度の海洋土木工事規模が推移したとした場合、工事規模に対する作業船の隻数は適正ないし過剰と考えている業者が多く、不足している、新造余地があると考えている業者は少ないことが分かった。特に、ここ数年、低金利か誘因となり作業船の新造ブーム的な活況があったが、作業船市場のピークは既に越したとの見解か多かった。
そのため、今後の作業船新造計画に関しては慎重かつ消極的反応がうかがわれ、今後については自社の現有作業船をやりくりしつつ、当面は工事発注状況を見守る構えの業者が大部分を占めた。今後の新造計画については未定とする業者がほとんどであり、新造するとすれば既存の持ち船が代替時期にさしかかった時の更新建造であるとする業者が多かった。
C 使い勝手のよい作業船ニーズ
海洋土木事業者からのヒアリングでは、北海道の漁港には中・小規模のものが多く、それら水深の浅い漁港内での作業等を想定した場合、今後も100〜150トン吊り程度の起重機船など、使い勝手のよい作業船ニーズは恒常的にあると考えている業者が大部分を占めた。道内の起重機船は、従来主流であった吊り能力100トン未満のものから、更新時期に当たっての100トン以上への機種への代替という能力アップの傾向が顕著にみられる。減価償却の法

 

 

 

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