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3 北海道地区中小造船業の課題と対応策

北海道の中小造船業は、前述のとおり漁船への依存度が非常に高く、地元に密着した企業が多く、地元漁業の不振がそのまま経営に影響してくる体質にある。
2年前に実施されたアンケート調査時点でも、経営の実状は受注数の減少や受注採算の悪化等から極めて厳しい事態に陥っていることが明らかであったが、その後の造修の実績推移をみれば、当時の状況は一層悪化の度合を増しているものと推察せざるを得ない。
前述のアンケート調査では、「当面解決すべき問題点」と「過去5年間の減船対策」についても調査している。
3−1 経営上の問題点
問題点として最も多くあげられているのは、「代金の回収」と「賃金上昇によるコスト増」で、34社、約47%を占めている。これに続き「低船価」(32社)、「技術者の育成」(31社)、「需給バランスの崩壊」(26社)の順となっている。これらの要因は互いに絡み合い、表裏一体の関係となっているものと考えられる。
すなわち、減船等の影響から需給バランスが崩れ、造船事業者間の競争か激化し、船価の低下を招き造船事業者の収益が悪化する。その」方で、漁獲物の減少と魚価の低迷で、漁船船主の業績も悪化して造修代金の支払いが遅延し、この回収も困難となってくる。
若年労働者の採用難または定着率の低下等による従業員の高齢化のためにコストアップになる。一方、ますます従業員の年齢断層か広がるため、造船技術の伝承が思うにまかせず、さらに、漁船の造修売上高の減少を補うために新分野に進出し多角化対策を講じる必要からも、若い技術者の育成が緊急な課題となっている。

当面解決すべき問題点

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