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1.3 アルミニウム合金材
1.3.1 使用制限
材料の機械的性質、加工性、溶擦性、耐食性及び使用実績等を考慮し、船体構造材料として適当と考えるアルミニウム合金材を規定した。また、海水に対して十分な耐食性を有しないアルミニウム合金材(A6061P、A6061S及びA6N01S)については、暴露部及び海水タンク等、直接海水と接触する可能性のある構造部分には使用できないことを規定した。
なお、1.3.1に規定される材料以外の材料を使用する場合には、当該材料の機械的性質、加工性、溶接性、耐食性及び使用実績等に関する資料を首席船舶検査官に提出し、当該材料使用の可否及び使用の条件等について承認を得なければならない。
1.3.2 耐力
アルミニウム合金材のH材のように溶接(入熱)により耐力が低下する材料の場合、本基準でいう材料の耐力とは、特に定める場合を除き、溶接施工後における材料の耐力をいうことを定義した。この溶接施工後の材料の耐力及び引張強さは、適当な試験により確認されなければならず、試験に先立ち、適用する材料、板厚の範囲、溶接法等に関する資料を首席船舶検査官に提出し、当該試験実施の条件等について承認を得なければならない。また、試験により溶接施工後の材料の耐力及び引張強さの値が確認されない場合には、当該材料区分又は材料記号における○材の耐力の規格最小値を用いなければならない旨明記した。
また、耐力が高く、耐力と引張強さの値が近いような機械的性質を有する材料、すなわち、耐力(弾性限界)を過ぎた後、破断に至るまでの余裕の少ない又は殆どない材料において、実際の耐カベースでの強度評価基準によって設計することは、設計強度と崩壊に至るまでの強度との間に殆ど余裕がないことになり非常に危険である。よって、設計で用いる耐力は、引張強さの30%を余裕分として見込み、降伏比70%を超えてはならないこととした。
1.3.3 溶接
アルミニウム合金材の溶接を行う場合の施工基準については、JIS Z 3604又は日本海事協会鋼船規則(以下、鋼船規則という。)によって差し支えないこととした。ただし、鋼船規則に規定されるものは、基本的に鋼材の溶接に関するものであるため、鋼船規則C編を準用する場合の修正を1.3,3(1)及び(2)に規定した。
(1)について:
本基準では、十分な耐食性を有するアルミニウム合金材用溶接材料を使用することを前提
としている。よって、鋼船規則C編表1.4に規定する鋼材用溶接材料を使用する場合の溶接脚長の要求値からのど厚に対して1mm、すなわち脚長に対して√2mm(1.5mm)腐食予備厚さを軽減した。(下図1.3.1参照)
また、溶接脚長部の強度は、〇材相当であるため、1.3.2に規定する母材の溶接後の耐力が〇材の耐力よりも高い場合には、接合強度が不足することになる。溶接脚長部に母材の耐力と同等の接合強度を持たせるため、母材の溶接後の耐力と溶接材料の溶着部の強度の比に

 

 

 

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