日本財団 図書館


 

 

大きく損傷したときに定格まで回転を上げる筈はなく、比較的細いプロペラ軸が永久変形を受ける外力に対し安全なシャフトブラケットを用いると、軸がプロペラボス前端で局部変形を起こし修正が不能になる。また、シャフトブラケットを丈夫にしても、これを支持する船体の強さが及ばない例は多く、シャフトブラケットが岩礁や大きな流木等に当ったとき船底構造がシャフトブラケット取付座で勢断されて浸水する例が多く、この補強もかなり困難である。
また、過大なシャフトブラケットは付加物抵抗の増大と、その直後で作動するプロペラの効率低下の原因となる。
プロペラの起振力に対してシャフトブラケットを設計し、実績からその限界を決定するのが最も妥当な方法であろう。
プロペラの起振力の主なものは、プロペラ翼が船底近くを通過するために発生するものであって、プロペラ直上外板に生ずる水圧変動は5.3.5(1)に示したとおり、k・BHP/N・D3に比例する。したがって、プロペラの受ける反力は、水圧変動にプロペラ面積を乗じた値に比例する。すなわち、k・BHP/N・Dに比例すると考えてよい。
この外力はシャフトブラケットを前後にゆさぶる力であって、左右にゆさぶる力ではない。
実際に損傷したシャフトブラケットの折損部を見ると、アーム上端取付部の前後端の溶接部にクラックを発生して破損している。
ある例では振動が発生していたものを、そのまま使用していたら何時の間にか振動を感じなくなった。艇を上架したところ、シャフトブラケットは折損して軸にぶら下がっていたという例がある。これは振動応力によって溶接部の欠陥からブラケットが切断し、その後は翼端間隙が大きくなり振動源がなくなったものと考えられる。
極端な言い方をすれば高速回転のプロペラでは、プロペラのバランスが良く、軸の曲りがなく、十分な翼端間隙があれば、シャフトブラケットは軸とプロペラの重量を支えるだけの強さを持てば良いとも言える。
表5.47,48、図5.26に実例を示す。安全限界は次のとおりである。
中実アーム及び鋳造中空アームに対し、

 

 

213-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION